2014年6月11日水曜日

iOSでもAndroidでも、スマートフォンのテザリングはなぜ特別扱いなのか?

ドコモ版のiPad Air, iPad mini retinaの発売が迫る中、キャリアアップデートの配信により、ドコモ版とは関係ないSIMフリー版のiPad Air, iPad mini retina のテザリングが出来なくなってしまうことが話題になっている。反応の中には、MVNOを潰すためにドコモが規制をかけたと、そんなものまであった。
2014/05/31(土) すまほん!!
[追記あり]NTTドコモの「MVNO潰し」か?——現行機のiPad、テザリング使用不可に
http://smhn.info/201405-ntt-docomo-ban-tethering-mvno-sim
テザリングがなぜ特別扱いされるのか? なぜ強制的にAPNを変更させてしまうのか? LTE登場前の様子から、スマホのOS作りを交えて記事にしてみたい。


■はじめに

テザリング時にAPNを強制的に切り替える機能自体は、iOSだけでなく、実はGoogleのAndroidでも標準的に取り込まれており、ドコモをはじめ日本のキャリアが、AppleやGoogleに身勝手に機能を入れさせているわけではない。

なぜ、世界共通の機能として、APNを切り替える機能が入っているのか? ユーザか見ると迷惑な機能を必要とする人が世界にいるのだろうか?


■通信形態により料金に差をつけていた

まずは、LTEが始まるずっと前、ドコモだとFOMAとi-modeが全盛だった時代にさかのぼってみる。当時パケホーダイという割引サービスが開始され、i-modeでのweb閲覧やメール受送信が中心に使われていた頃だ。確か、i-modeのWeb閲覧なら4000円程度で使えていたはずだ。

その後、ガラケーも進化し、ケータイから使えるフルブラウザが登場したり、ケータイ電話をモデム代わりにUSBでPC接続してデータ通信を行う形態もあったり、時期的にはスマートフォンが出現する初期のころになり、だんだんと通信量が増える使われ方が広まっていく。ちなみに、今現在のドコモの料金(パケホーダイダブル2)も、機器によって料金が区分けされている。

i-mode通信のみ利用4,200円
i-modeフルブラウザ, スマホ通信5,700円
その他のパケット通信 (PCモデムなど)7,800円


i-modeケータイでちょろちょろやる分には、パケットの量もそうは多くならないのだが、パソコン経由にデータ通信は大量のパケットが発生して、キャリアの設備にかかる負担も大きい。現在は、7,800円まで値下げされているが、定額制が始まった当時は13,000円ぐらいしていた記憶がある。

こうして、使い方に応じて料金に差をつける以上、パケットの種別を区別しなければいけないが、APNを切り替えて入り口を分けることで、分計するのである。


■AndroidやiOSにテザリング用APN切り替え機能が搭載されている

ところで、
  • i-modeケータイのちょろちょろパケット
  • パソコンからのデータ通信用パケット
の関係を、今現在のスマホに当てはめてみると、スマホ単体から発する通信と、テザリング経由で発生する通信の関係に似ている。

ケータイの小さな画面で直接やり取りするデータと、パソコンをつないで発生するデータの性格が大きく異なるのは日本だけの事情ではなく、世界の携帯キャリア共通の悩みでもあり、通常通信とテザリング通信の料金を差別化したり、データを入り口で分けたいと思う。

それらのキャリアの要望が、Androidの機能としても取り込まれたとみられる。Google純正ROMのオープンソース版、AOSP (Android Open Source Project) でもその内部構造を見ることが出来き、デフォルトの状態ではテザリングによるAPN切り替え機能はOFFになっているのだが、キャリアがカスタムする過程でONにすればすぐに使えるように準備されている状況である。キャリアが使う事を想定した機能のため、テザリング用APNをユーザが手動で変更する設定画面も、例えばNexusのような端末であっても基本的には解放されていない。

Androidのテザリングの作りが、現在も閉鎖的になっていると感じる経緯ではないかと推測している。そして、アップルのiOSもキャリアの要望をくみ取りながらAPNの切り替え機能を装備しているのだが、キャリアの意向によって、ユーザが設定できたりできなかったを制御できる。


■最近は従量課金が当たり前、分ける必要はないでは?

最近は7GBを超えたら速度制限するような、従量課金が普及したため、使った分だけパケット料金を払う形になっている。通常の通信だろうが、テザリング通信だろうが、自分が買った通信量の使い方はユーザが決める時代で、もはや分計する必要はなのでは?と思う。

一方、通信設備の視点で見るとテザリングが発するデータ量は膨大で、うまく制御しないと他の通信も影響が出てしまう事情もある。現状では、入り口のAPNのところで分けておくのは合理的なようだ。


■参考
Android OSについてはAOSP (Android Open Source Project) で、ソースコードが公開されているので、テザリング機能の内部の構造に関心のある方は、この記事を参照していただければと思う。
2011年5月12日 8796.jp管理日誌
[Android] ソースコードから見る公式テザリングとAPN
http://blog.8796.jp/8796kanri/2011/05/android-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%8B%E3%82%89%E8%A6%8B%E3%82%8B%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%86%E3%82%B6%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8apn.html

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